こんにちは。ミニマフローです。
ユリの花ってとってもいい香りですよね。
ユリの香りをかぐと、結婚式の思い出が蘇ります!
ユリの花は、香りが強く濃厚で、手のひらよりも大きく立派な花をいくつも咲かせる姿は、非常にゴーシャスです。一輪飾るだけで空間が際立ち、冠婚葬祭などフォーマルなシーンでも活躍するので、目にする機会の多い花かと思います。
そんなメジャーなお花であるユリですが、実は飾る際に絶対にやるべきことがあるんです。
それをするとしないとでは、花の持ちや管理の煩わしさに、驚くほど大きな差が出るのですが、意外と知らない人も多いようです。
そこで今回は、花屋で働く現役フローリストの私が、「ユリ(およびユリ科の花)を飾る際に絶対にやるべきたったひとつのこと」について写真付きで解説します。
この記事を読めば、ユリの扱い方をマスターできます。
花粉を吹く前に、葯(やく)を取り去る
さっそく、結論から述べます。
ユリを飾る際に絶対にやるべきこととは、「花粉を吹く前に、葯(やく)を取り去る」ことです。
葯(やく)ってなにー!?初めて聞きました!!
安心してください。とってもわかりやすく、簡単です。
葯(やく)とは、ユリの花のおしべの先についている、赤オレンジ色の細長い部分を指し、全部で6つあります。
葯は袋状の構造をしており、その中には花粉が詰まっています。
ちなみに、真ん中の突起がついた一本長いのが、めしべです。
おしべやめしべは、つぼみの状態では、花びらの中に収納されていますが、花びらが開くとともに、外から確認できるようになります。
面白いことに、この葯はつぼみの中におおわれている間は、表面がツルツルとしており、触っても花粉はつきません。ところが、開花が進み、外に露出してくると、パプリカパウダーの様な赤い花粉を吹き始めます。表面に赤い花粉が出てくるのです。
ユリの葯(花粉)を取り除くべき3つの理由
葯を取り除く必要があることはわかりましたが、どうして必要なのでしょうか?
その理由は以下の3点です。
- 周囲を汚してしまう(そして、恐ろしいことに、落ちない。)
- ユリの花びらを汚してしまう
- 花持ちを悪くする
順番に解説していきます。
周囲を汚してしまう
ユリの花粉は、脂質類のため粘着力が強く、ベタベタとしています。花に近づいた昆虫の体に花粉をまとわり付かせ、めしべまで運んでもらうことによって、受粉しやすくするためです。
その上、ユリの花粉は強い色素を持っており、厄介なことに、衣類や床・壁などに付いてしまうと、取るのは非常に困難です。洋服などに付いてしまうと、頑固なシミになり、色素沈着してしまう恐れがあります。
尚、万が一、花粉がついてしまった場合には、すぐにテープなどを使って、軽く押さえてから剝がすようにして、取ってください。被害が広がってしまうので、払ったり、こすったりしてはいけません。
ユリの花びらを汚してしまう
葯をそのままにしておくと、花粉が散り、ユリの花びらを汚してしまいます。
特に、真っ白な白百合の花びらに赤い粉が散ってしまうと、せっかくの純白が台無しです。
鑑賞の上でもデメリットになりますので、やはり花粉は早めに取ってしまうのが賢明です。
花持ちを悪くする
花粉を取ってしまった方が、お花が長持ちするというのは、感覚的に少し意外かもしれませんが、その理由は、科学的に説明できます。
そもそも花はなぜ咲くのか。少々哲学的な問いですが、答えは「子孫を残すため」です。
花は咲くことによって、虫をおびき寄せ、おしべから出た花粉をめしべまで運んでもらいます。
花粉がめしべの先端の柱頭に付くことを受粉と言い、植物は受粉することで種を作ることができるのです。
小学校の理科で習いましたね!
花粉を取らずに、そのまま放置することによって、たとえば振動や風など、なんらかの拍子に花粉がめしべの先についてしまうと、見事、受粉成功!となり、ユリは咲くモード終了となり、種を作るモードへとシフトしてしまいます。
つまり、花が早く終わってしまうのです。
なるべく長く花に咲いていてもらうため、花粉を抱える葯は早めに取ってしまいましょう。
どのタイミングで取ればいいの?取り方は?
タイミングに関しては、可能な限り早く取ってしまいましょう。
とは言っても、開花をしてこないと、物理的に不可能ですが、
隙間から指を指し込めるくらい花が開いたら、準備OKです。
取り方自体はいたってシンプルです。
葯を指でつまみ、そのまま引き抜くだけです。
ピンセットを使っても良いですが、まだ花粉を吹く前であれば、指が汚れることもないので、指でつまんで抜き取ってしまって大丈夫です。
葯は全部で6つありますので、取り残しがないようにしましょう。
取るのが遅れ、既に花粉を吹いてしまっている場合はどうすればいいですか?
ティッシュなどで包むようにしながら、周囲に散らないように慎重に取ってください。
指に花粉がついてしまった場合、しばらく色素が残りますが、日常生活をしているうちに落ちていくので安心してください。
簡単にスルっと抜けるのは、ちょっとした快感で、癖になります。
これこそがユリを飾る楽しみと言っても過言ではありません。(狂気)
ユリの花は、開花が始まると、つぼみの状態から、ものの数時間であっという間に開きます。
とにかく大事なことは、葯が花粉を吹く前に、なる早で取り去ってしまうことです。
葯の採取は、とにかくスピード勝負ですね!
<おまけ>めしべの先の液体は拭き取る
花粉を取り去ったあとのめしべの先(柱頭)を観察すると、透明の液体が出ていることがあります。
この柱頭分泌液には、花粉を付着しやすくする働きや、花粉に水分を供給する働きなどがあるそうです。
この分泌液には、糖分が含まれているため、べたべたとしています。触ると糸を引くような粘りがあります。
床に垂れると、掃除が面倒ですので、見かけたらティッシュなどで拭き取ってあげると良いでしょう。
おしべから送られる花粉を蜜をいっぱい出して待つ、めしべ…。なんともセクシーですね。
花粉を取るべきユリ科の植物
ユリの基本情報
名前 | ユリ/百合 |
英名 | Lily |
学名 | Lilium |
分類 | ユリ科ユリ属 |
原産地 | 北半球の亜熱帯・亜寒帯 |
開花期 | 5~8月 |
花言葉 | ・純潔・無垢 ・威厳・自尊心・注目を集める |
切り花価格帯 | 200~3,000円 |
ヨーロッパではユリをシンボリックに用いる事例が多く、純潔無垢や穢れのなさ、気高さの象徴であるとともに、キリスト教において、純白の白百合は「聖母マリア」の象徴とされています。
日本においても、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉がある通り、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを象徴する花として知られています。
花粉を取るべきユリ科のその他の植物
本記事で紹介した内容は、その他のユリ科の植物にも当てはまります。
要領は同じで、花粉を吹く前になるべく早くつまみ取ってしまうことです。
ご自宅で飾る際は参考にしてみて下さい。
グロリオサ
アルストロメリア
おすすめの花道具
最後に花屋の私が愛用する、おすすめの花道具をご紹介します!
<花はさみ> 坂源 ハンドクリエーション
花専用のはさみは細い茎から枝物までなんでも切れるので、持っておくと便利です。
坂源という老舗のはさみメーカーが大変有名で、プロ御用達!軽い力でよく切れ、錆びることもないので、とてもオススメです!
<剪定ばさみ> アルスコーポレーション ミニチョキ 軽量・小型
こちらは太い枝物や木を切るときなどに重宝する、剪定ばさみです。ミニチョキの名の通り、馬力があるのに、女性の手にも扱いやすいコンパクトなデザイン、軽やかなホワイト×黒のモノトーンカラーがお気に入りです。
<フローリストナイフ> VICTORINOX フローリストナイフ
こちらは少し上級者向けになりますが、花材によっては、はさみで切るよりナイフでカットするのに向いている場合があります。
茎が柔らかく、はさみだと潰れてしまうようなお花や、水の吸い上げが悪く、なるべく茎の断面の表面積を広く取りたいお花などにはナイフもおすすめです。
私はスイスのナイフメーカー「ビクトリノックス(Victorinox)」のフローリストナイフを愛用しています。切れ味、最高です。
まとめ
以上、今回の記事では、ユリを飾る際に絶対にするべきこととして、「花粉を吹く前の葯(やく)を取り除く方法やそのタイミング」についてご説明しました。
年中出回るユリですが、本来は初夏から夏にかけてが旬のお花です。
花粉のお手入れをするだけでも、一層愛着が強まるものです。旬のユリをお部屋に飾って、その高級感溢れる香りを楽しんでみて下さい。
以上、ミニマフローでした。今日も凡事徹底で行きましょう!
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