みなさん、こんにちは。ミニマフローです。
私は、普通の会社員から、未経験の花屋業界に挑戦し、業界大手の都内生花店でフローリスト勤務しました。
今回はそんな経験を生かして、花屋での主な仕事内容や、お給料・残業・休暇の取得など、気になるあれこれについて、ざっくばらんにご紹介していきます。
「花屋の仕事ってどんなことするのー?」と興味のある方や、花屋への就職やアルバイトを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
花屋での主な仕事
花の仕入れ・市場
花の市場が開かれる曜日は、月・水・金と決まっています。
基本的に週3日、お花が新たに入荷されます。小さな花屋さんの場合は、仕入れ日はもっと少ない場合もあります。
お客さんの注文に合わせて、事前に花オーダー(花の予約注文)をかけたり、実際に市場へ買い付けに行ったりして花を仕入れます。
水揚げ
市場から入荷したお花は、水揚げをします。
水揚げとは、花が水を吸い上げやすい状態にしてあげるための下処理のことです。
市場から届くお花は、刈り取られてから、輸送され、お店に届くまでの間、水に浸かっていなかったり、暑い外気にさらされていたりと、過酷な環境下にあることが多いです。
すると、花はしおれて、一時的に元気のない状態になってしまいます。この状態を水の下がった状態と言います。
その状態から、元気で美しい売り物の状態にしてあげるために、水揚げを行います。
水揚げをすることによって、花たちがしっかり水を吸い上げ、生き生きした状態に戻ります。
具体的な水揚げ方法としては、以下の通り、さまざまな方法が存在します。
・茎を数センチ切り戻す
・茎を割る
・茎を叩く
・茎を焼く
・薬剤に浸ける
植物によっても、効果的な水揚げ方法が異なるため、最適な方法で素早く行うことが求められます。
水替え
お花の入っている花瓶やバケツはこまめに洗い、水を取り替えてあげる必要があります。
私の勤める花屋の場合、店頭に並ぶお花の水替えを毎日、キーパー(花用冷蔵庫)で保管しているお花の水替えを一日おきに行っています。
水を替える際には、茎を下から2~3センチ切り戻し、お花が水を吸い上げる力を復活させてあげます。
商品制作
アレンジメント・ブーケ・お祝い花・お供え花などの商品を作成します。
フローリストナイフ・ピンセットなど、道具の使い方に慣れるところから始まり、素晴らしい作品を作れるようになるまでは、とても長く険しい道です。
とはいえ、私にとって、制作こそが花屋に努める最大の意義であり、いちばん楽しく、夢中になれる時間です。
商品のデザインやテイスト(作風)、クオリティは、お店によって大きく異なるので、自分が素敵だと思えるお店で働くのが一番だと思います。
また、お店の立地や客層によって、ご自宅用の切り花の需要が多いお店、アレンジやブーケといったギフト需要が多いお店、お店や企業に向けたスタンドお祝い花が多いお店というように、制作する商品の種類、価格帯にも特徴が出ます。
接客・ラッピング
接客を通して、用途・ご予算・希望の色味などをヒヤリングします。
お客さんの中のイメージと、実際の仕上がりに齟齬があると、クレームに繋がるので、接客でのイメージのすり合わせが非常に大切です。
お客さんによっては、出回り時期(季節)のことを理解していなかったり、スマホで加工後のサンプル画像を元に、自然界にない色や入荷の難しい色を要望されたり、花言葉をすごく気にされる方がいたりします。
私たちはプロとして、豊富な花の知識をインプットし、できることできないことを見極め、素敵な代案を提案できるような接客スキルも求められます。
配送・梱包
配送手配が多いのも、花屋ならではの特徴かもしれません。
配送業者による運送中の振動で、商品が飛んだり、倒れたり、水漏れしたり、器が割れたりしないように、丁寧かつ頑丈に梱包しなくてはいけません。
商品の形状もさまざまなので、梱包ひとつを取っても、実はスキルの見せ所なのです。
配達
大きなアレンジメントやスタンド花の場合、配送業者に配送をお願いするのではなく、自分たちで配達してお届けするケースもあります。
また、ショーウィンドウのディスプレイ装花やイベント装花、企業への定期納品など、B to B案件では、現場まで出向いて納品する場合が多いです。
いずれの場合も、慣れない場所での作業となります。その上、水濡れや花粉・葉・花びらを散らして現場を汚す、花器を割る、備品を壊すなど、失敗が許されない状況での作業は、とても緊張します。
今だからわかる!花屋になる前に知りたかったギモンに答えます
一般的な業務内容について、おわかりいただけたでしょうか?
ここからは、わたしが花屋入社前に知っておきたかったこと、疑問に思っていたことなどについて、過去を振り返って、ざっくばらんに回答していきます。
わたしが勤めていた花屋のケースを元にお話ししますので、あくまでご参考程度にお考え下さい。
募集要項に「自動車免許必須」とあるけど、実際どのくらい運転するの?
市場から花を運搬したり、お届け先へ配達したりするため、普通自動車の免許と運転スキルを入社の必須条件とする花屋さんは多いです。
特に正社員雇用の場合です。私の花屋でも普通自動車運転免許は、募集要項で必須とされていました。
花業界でやっていくには、運転免許を持っていた方が有利であることに間違いないと思います。
では、実際どれくらい、業務中に運転をするのか。
それは、花屋の規模や立地、客層によって変わってきます。
例えば、都会のエキナカの花屋なのか、地方の町の個人経営の花屋なのかでは、状況は大きく違います。また、切り花需要メインの花屋なのか、大きなお祝い花やウェディング装花がメインの花屋なのかによっても、全く異なります。
かくいう私はと言いますと、実は、、、業務で運転をしたことが一度もありません!
自慢することではありませんが、正真正銘のペーパードライバーです。
私が勤める会社もそうですが、大手の花屋の場合、仕入れやロジスティクスの専門部署があり、各ショップの店舗運営と分業しているため、ショップに配属されている限りは、運転機会が全くないというパターンがあります。
とはいえ、将来自分で花屋を経営したい方や、大手花屋でも各部署を渡り歩き、幹部候補として上り詰めたいという方は、自動車の運転スキルは絶対にあった方がいいと思います。
自戒の念も込めて、そう断言しておきます。ただ私のようなラッキーケースもまれにあります。笑
花屋未経験ですが、制作はやらせてもらえるの?
花屋経験者の場合、即戦力として、すぐに制作を任される場合もあるかと思います。
しかし、未経験者の場合は、入社後、すぐに制作をさせてもらえるケースは少ないと思った方がよさそうです。まずは接客から始まり、徐々に水揚げや水替えなど花に関わる作業を任され、それらができるようになったのちに、制作を教えてもらえるというお店が多いと思います。
またお店によっては、制作は正社員が担当、パート社員は接客メインで、制作は任せてもらえない、など雇用形態によって分業されているケースもありますので、募集要項の業務内容については、確認が必要です。
また、現場の感覚としては、配属先の店舗の人員状況や、どれくらい売り上げる店舗なのか、上司・先輩の方針によっても、かなり左右されやすい印象です。
人手が足りていない店舗や、売上の大きい店舗は、従業員一人がかかえる制作数が相対的に多いため、下っ端にもチャンスが回ってきやすいのです。
残業はどのくらいあるの?
花業界の繁忙期は、以下の通りです。
・母の日シーズン(4月中旬~5月中旬)
・クリスマスシーズン(11月~12月)
・ホワイトデー・卒業・送別・入学シーズン(3月~4月)
要するに、3月~5月中旬と、11月~12月が繁忙期です。
一方、夏場が閑散期となります。
繁忙期と閑散期の忙しさの違いが、大変はっきりとしているため、私が勤める会社では、「みなし残業制」というものが採用されています。
「毎月40時間までの残業代があらかじめ給与に組み込まれている」という仕組みです。
つまり、忙しい月も、暇な月も、給与に大きな差がでないように、あらかじめ残業代が固定されているというわけです。
言い換えれば、月40時間までは、どれだけ残業しても支給額が変わりません。(深夜残業分は出ます)
残業時間が月40時間を超えた場合だけ、超えた分の残業代が追加で支給されます。
私の場合、残業時間は、閑散期で月10~15時間程度、繁忙期では月35~45時間程度、でした。
とは言っても、「反・残業」を強く主張し、業務効率化に全振りしていた私なので、これはかなり恵まれた数字だと思います。
正直なところ、残業の長さは、店舗の人員や、売り上げ規模、そして年次に左右される部分が大きいです。そして、一般的に言えることは、花業界は長時間労働が常態化しています。みんな働きすぎです。
マネージャーや店長など、責任ある立場になればなるほど、私生活を犠牲にして、時間と体力を会社に捧げているなと感じる方ばかりです。
私が花屋で上を目指すことを選ばない理由も、そういったモーレツな働き方をしたくないからです。
休みは取りづらい?
正社員の休日の日数は、月によって変動があり、ひと月当たり7日~10日程度です。
シフト制のため、休みたい日がある場合は、シフトが組まれる前に、前もって上司に希望を出します。
それに加えて、国の定めに従って、年次有給休暇が付与されます。
【正社員および週5日勤務のパート社員】の有給休暇の付与日数は以下の通りです。
【週1~4日勤務のパート社員】の有給休暇付与日数は以下の通りです。
では、付与された有給休暇を実際に取得できているのか、という点についてですが、
私の会社の場合、労働基準法が定める、年5日の有給休暇は、夏季休暇というかたちで、閑散期である7~9月にかけて取得が促されています。
それに加え、年3~5日程度は有給を使えている人が多いかな、という印象です。
でも、全ての付与日数を消化できている人はほぼいないというのが、リアルな肌感です。
有給休暇を取りやすかどうかも、店舗の人員や上司の方針による面が大きいようです。
私が正社員の時に、希望した有給休暇を、店長に却下されることがよくありました。人員が少なく、極端に休みが取りづらい店舗だったため、店長は全社員の有給取得日数を同じにしようとしていたのです。
でも、人によって、付与日数は異なるのに、実際の取得日数を同じ日数に揃えようなんて、ナンセンスすぎませんか!?怒り狂っていたあの頃を思い出します。
ぶっちゃけお給料はどのくらい?
お給料についても、包み隠さず公開します。あくまで一例にすぎませんので、ご参考としてお願いします。
結論から述べると、労働時間も長く、立ちっぱなし、重いバケツや花器、鉢を運ばなくてはならない重労働のわりに、お給料は決して高くないです。いわゆる激務薄給です。
【3年目正社員の場合】とある一か月の給与明細(※交通費は別途支給)
【週4日・8時間勤務のパート社員の場合】とある一か月の給与明細(※交通費は別途支給)
パート社員は諸手当が付かなくなる分、手取り額が大きく減ります。
一方、働きたい日・休みたい日を自由に決められたり、週休3日が確保されたり、残業したら、した分だけ残業代として支給されたりと、メリットも多く享受していると思っています。
まとめ
今回は元花屋の私が、花屋での主な仕事内容や、気になるお給料・残業・休暇の取得状況などについて、ざっくばらんにご紹介してきました。
大好きな花に囲まれて働けるフローリストという仕事に、あこがれを抱く人は多いと思います。
その華やかで、クリエイティブなイメージとは裏腹に、現実は泥臭く、待遇面でも理想には程遠い面があることもおわかりいただけたと思います。
しかし、日々、花や植物に接していると、やはり心が癒されますし、四季を感じられて、穏やかな気持ちになります。私たち人間も植物と同じ、自然界の一部なんだよな、と謙虚な気持ちにもなります。
知らなかった花の名前をまたひとつ覚える。前は1時間かかった作業が30分でできるようになる。毎日花を作る中で、少しずつ制作スキルが身について、自分でも驚くような素敵な作品を作れるようになる。そんな小さな積み重ねによって、自分が成長しているのを日々実感できるのが、フローリストという仕事の好きなところです。
そして何より、花や植物が大好きという気持ちがいちばんのモチベーションになっていたと思います。
花屋やフローリストという仕事に興味のある方、就職を検討している方にとって、この記事がご参考になれば幸いです。
以上、ミニマフローでした。今日も凡事徹底で行きましょう!
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